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妖怪お湯かけババア

by ミケ

#Diary

十二月某日 

 外のガスの給湯装置が壊れ、お湯が出なくなった。

 年に一度の点検時、「釜が焦げてますから、いつ止まるかわかりませんよ〜」と、前々から脅されてはいたけれど、何てことなく十年くらい持った。でも、もはや寿命、限界がきたと思う。

 現代人の私は、寒い朝に、水を使うのは堪える。朝から大量のお湯を沸かして、水と混ぜながら水仕事をする。ささいなことだけれど、不便さが楽しめず、気持ちが多少沈む。

夕方

 Oガスさんにご相談に行くと、取り付けは年末になると言われて、ますます落胆したが、この家を購入した時の工務店さんに夫が連絡してくれたら、めっちゃ良心的な業者さんを紹介してくださって、話が進んでいる。来週中には取り付けられそう。保証も十年!

 この古い地域では、市井のモンには、大企業さんより地元工務店さんのが、数百倍頼りになってありがたい。仕事が早いし、さまざまに融通が効く。リフォームのときも、つくづくそう感じていたことを思い出した。その時は、銀行にも折衝してくださって、お金のことまでご相談できたから。

 近所の銭湯に行く。前々から一度は行ってみたいと思ってはいたが、こういうことでもないと、行くことはなかったかもしれない。ただ、ご近所の大奥様たちに出会う可能性もあって、それは多少気まずい(笑)。

 (実際、銭湯を出る時H田夫人が入ってきて、あら、びっくり?と言われてご挨拶;)

 まあ、ご近所さんの知り合いは、それなりに楽しいけれど、私がお風呂に入る前から、上がるまでずっとこちらを見ている、まるで銭湯の壁に棲み着いているがごとくのババア ばーさんに遭遇。

 そのばーさんが、電気風呂とか、薬草風呂とか、白風呂…など、私が入ったところ、入ったところ、を追っかけるように入ってきて、その場所をしつこく「祓って」いる。

 (なんの儀式やねん?)と笑えたけれど、なんだか気持ち悪い。

 白髪で痩身で、マンガ日本昔話で言えば、旅人の寝室の横で、深夜、包丁研いでいる老婆感あふるる風情なのだ。

 うむむ…こういうことを地元の洗礼を受けるってヤツかもしれへんね。

 まあ、妖怪お湯かけババアには知られてへんのやろうけれど、私だって、この地には十年くらい居着いているわけで(=ここでは、十年なんて新参者だろうけど)、いざとなったら、こっちかて町内の頼もし〜い姐さまたちもおるんぇ…と極妻のようなことを思てしもたわ。笑

深夜

 銭湯で出会ったお湯かけババアは、出来事としては、かなりおもろい珍事だったとは思うが、ガス給湯機の取り付けまでの間、毎晩、妖怪にお湯祓いされるのも厄介なので、他のところを探しているうちに、ふと、すごく、すごく、素敵なことを思いついた。

 いやぁ、これは、新しい仕事のやり方を発見したと言ってもいい。ガス給湯機が壊れたことにも意味があったってもんや。素敵すぎて、ちょっと内緒にしておこう。

 ありがとう、ガス給湯機が壊れて。ありがとう、お湯かけババア。

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